書評

人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。|千田琢哉(著)- 書籍レビュー

新版 人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。

千田琢哉 日本実業出版社 2021年02月11日頃
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by ヨメレバ

人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。|千田琢哉(著)

本日のレビューは千田琢哉さんの「人生で大切なことは、すべて「書店」で買える」。
10年前に発売された同名著書を改訂し、新版として新たに出版されました。

書店で買えるあれこれ

タイトルこそ大袈裟ですが、 人生で大切なことは、ほとんど書店にあるというのは私も全くの同意見です。

子供の頃に読んだ絵本や童話、子供向けの小説は、大人になってから記憶が薄れてしまっても、自分の原体験として性格を形成する大きな役割があったと思います。私も、小学3年生の頃に読んだ田中芳樹さんの伝奇小説が今だにちょっと偏屈な性格に影響していると信じています。

本書で触れられていますが、書店ではさまざまな知識を買えることはもちろんのこと、生きていくために必要な力をたくさん得ることができます。

例えば、本を買って読み、それを他者に紹介することはコミュニケーション能力を鍛える助けになります。
小説であれば、たとえフィクションだったとしても、自分が経験することのなかった他人の人生の時間を体験することになりますから、日常を過ごすだけでは得られなかった精神的な気づきを得られ、学びを深めることができます。

私は仕事でわからないことがあると、まず関連した本を買うのですが、これは仕事をするための技術力であったり、マネジメントの力であったり、結果的にはお金を稼ぐための経済力にもなっています。

本がコミュニケーション力をはじめとした人間力を育て、
本が仕事力、技術力、マネジメント力、経済力を与えてくれるのです。

しかも一冊1000円くらいです。特定のビジネスに関する勉強をしようと思ったり、人間力を高めるためのセミナーなんて通えば数十万円はかかりますよね。
本は、恐るべきコストパフォーマンスの最強の教師だと心底思います。
さらには、各専門家が世の中を構成する全てのジャンルで書籍を出していますから、学べないことを探す方が難しいです。

本書に記されていることは、その学びを得るための方法が解説されています。
私も「その考え方はしたことながない!」と思う項目がたくさんあり、本屋さんに立ち寄るのが楽しみになりました。

本を読まない20代にこそ読んで欲しい

特に10代から20代におすすめしたい一冊です。

読書なんて勉強みたいなことに時間を使いたくないという気持ちもあると思いますが、一人の時間ができた時にこそ、書店に遊びに行って欲しいのです。

書店の本棚はインスピレーションの宝庫です。背表紙を眺めるだけでもたくさんの物語やたくさんの情報がインプットできます。普段の生活では目にしない用語も、書店に行くと出会えるようになっています。
なぜかといえば、現代人の生活はスマートフォン経由でのインターネット広告に支配されているからです。
インターネットは、Google社などのWebマーケティングによって、自分が閲覧したWebサイトやキーワードに従って、それに関連した情報が優先的に表示される仕組みが一般的です。

一回検索した商品がネット広告でしつこく出てきた経験をしたことのある方は多いのではないでしょうか。
SNSも同様の仕組みとなっていて、好きなタレントや趣味、ゲームタイトルなどのキーワードで投稿を見続けていると、それらに関連した情報をシステム側が抽出して表示してきます。YouTubeの「おすすめ動画」や「ショート動画」などはこの機能の最たるものです。

結果、情報は偏ってインプットされます。
ところが書店はどうでしょうか。そのようなシステムのアルゴリズムによって情報を与えるようなデジタルな世界ではありませんから、自分の目に触れたものが自然と情報として入手できます。

書店に入ると今売れ筋の書的や新刊が並んでいます。そこには、普段自分が検索をすることのないキーワードを背負った書籍のタイトルが並んでいることでしょう。

例えば、アウトドアに関連した書籍がどうしてこんなに並んでいるんだろう?と書店の特集をみて不思議に思い一冊手に取ったとしましょう。
あなたの想像したことのないほど美しい景色の中でのキャンプ風景や、素敵なアウトドア用品を目にするかもしれません。

ビジネスのコーナーでは聞いたこともない横文字の単語に出会って、思わず手に取るかもしれません。
あなたの想像したことのないテクノロジーや、今起きている業界のイノベーションについて整理された情報に魅了されるかもしれません。

結果、普段そういった趣味がなかったから手に入らなかった情報や、普段の仕事をしているだけでは知る由もなかった情報が、書店に行くと、全く別の視点で出会うことができるのです。
お店に入るだけで勉強になる、こんな面白い遊びは他にないと思います。

今はカフェも併設されていますし、内装もおしゃれな大規模書店もあります。書店に行って、ぜひどんな本をおすすめしているのか、どんな本が棚に並んでいるのか、を眺めるだけでも価値があります。

この時代に、今を生きている著名な方々が、どんなキーワードを「自分の本」として世に出しているのか。
それを知るだけでも、閉じた世界にいたあなたの手をひいてくれるでしょう。

新版 人生で大切なことは、すべて「書店」で買える。

千田琢哉 日本実業出版社 2021年02月11日頃
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