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厨二病は意外にも理にかなっている

厨二病は意外にも理にかなっている

万が一、右眼に宿る隠された悪魔の力が暴走し、世界を滅ぼす事になったら…

研究所のヤツらに追われて、もし返り討ちにしてしまったらどうしよう。

ハイ、厨二病です。

でも似たような事は一度くらい考えたことありませんか?

アニメや漫画の見過ぎではありますが、大人になっても似たような事を考えて過ごす人もいます。

いつまでも中学二年生のような事ばかり考えて恥ずかしい!と揶揄されたのが厨二病と言う言葉の成り立ちです。

しかし、この中二病シンドローム、現代では意外に理にかなっています。

厨二病は妄想の産物

厨二病は、妄想の産物です。

言うまでもなく、現実には自分が突然に超パワーを得て、この世を揺るがすスーパーヒーローになるなんて事はありません。なったところで戦うモンスターもいません。

この「妄想」。仏教では、煩悩の産物と言われ、誰しもが持つものとされています。

そしてこの妄想をコントロールすることが、仏教における修行の一環として取り組まれているのです。

その本質は、「妄想を妄想として捉える」事にあります。

妄想と現実の区切りを曖昧にしていると、無用なストレスを溜めてしまいます。例えばこのようなケースです。

「みんなに嫌われるかもしれない」
「試験に落ちたらどうしよう」
「上司に叱られるのが怖い」

これは、完全に妄想の世界です。

人の感情は分かりようがありませんので、「嫌われたらどうしよう」と言う問いに答えは出せません。不安になると言う気持ちは誰にでも発生するものですが、それは妄想に過ぎません。

「試験に落ちたらどうしよう」というのも妄想です。試験は受けていませんし、結果を必要以上に気にする必要はありません。合否の結果を今から想像しても、イメージの世界の話です。行動しなければ現実的な対策にもなりません。

このように、妄想に囚われてしまうと、行動力が減退することになります。答えの出すことの出来ない妄想に費やす時間が長ければ長いほど、イメージの世界の住人になるというわけです。

厨二病もこれに似ており、妄想の世界に浸るあまり、冒頭のようなメタ的な発言まで飛び出すと重症と言えるでしょう。

妄想から抜け出すトレーニング

仏教では、妄想と現実の区別を明確に付ける事をトレーニングとして行います。仏教の教えをベースに、「反応しないこと」によるメンタルトレーニングを解説した書籍、「反応しない練習」(草薙龍瞬:著)では、現実の感覚を意識的に実感する機会を増やすことを提言しています。

この書籍の手法によると、次の様な手順で妄想から抜け出すことが出来ると言います。

まず何かを一つのことを思い浮かべ、目を閉じます。さっき見たニュースや、今朝の朝食のメニューなどを自由にひとつ、思い浮かべ、目を閉じます。

次に、目を開き、目の前のモノや景色を見つめます。
そして、「網膜が光を感じて写している世界、つまりこれが現実だ」と意識します。

すると、先ほどまで思い浮かべていたニュースや朝食のメニューは存在しないことが分かります。「さっき見ていたものは妄想である。今見ているものは光(視覚)である」とはっきり意識します。

結果、妄想の世界から脱却でき、現実をしっかり認識できるという手法です。私もやってみると、面白いほど思い浮かべた虚像が消失することに気づきました。

つまり、妄想が現実の物ではなく、
「内から発した単なる妄想である」
そう捉えることが重要といいます。

「厨二病」と言うワードはまさに、「現実の物ではない妄想」を端的に示す言葉です。

妄想に囚われると、人は客観的な視点が持てなくなります。その結果、イメージの世界で苦悩に陥り、ストレスを増幅させます。それが、現実は大したことのない悩みが発端であったとしても、

厨二病が意外と理にかなっているのは、「それは虚像である」という言葉を「厨二病」としてはっきりと示しているからです。

虚像の中のイメージの世界に留まることの無為さを端的に指摘することで、現実との区別をつけてくれるのです。

漫画やアニメ、それらを娯楽として楽しむ分には良いと思いますし、私も大好きです。ですが、あまりにのめり込み過ぎて現実を忘れてしまい、際限もなく関連商品を購入したり、犯罪に手を染めてしまうこともあります。

これらを抑止するのに「厨二病」という、一見馬鹿にしたような言葉は一役買っているのではないでしょうか。

「僕は厨二病だから」という方もいますが、それは現実と妄想の区別がついている、立派な大人と言えます。妄想は妄想、現実は現実として楽しむことを大いにわかっているから、そのような自虐的な言葉が出るのでしょう。

とは言え、私も漫画やアニメが大好きです。現実に返ってくることを忘れないよう、本日の記事を投稿させていただきました。

皆様も、適度に娯楽を楽しみましょう。ありがとうございました。