書評

人生が全部うまくいく「ありがとう」の不思議な力 | 小林正観(著)

人生が全部うまくいく「ありがとう」の不思議な力 | 小林正観(著)

心理カウンセラーの方におすすめいただいた一冊。
故人、小林正観さんの著作で、生前は年間300回もの講演をされていたそうです。

人間の潜在能力やスピリチュアルな内容が多く含まれ、科学的なデータよりも主観的な内容が多いため苦手な方もいるかもしれません。

この本をお勧めされたのは、私の「感謝のトレーニング」の一環として一読してはどうかという話でした。

内容としては「ありがとう」を口に出していうことの威力が語られています。
嘘だと思って10000回「ありがとう」を言ってみる、とくに感謝をせずともいいので、兎に角「ありがとう」を念仏のように唱え続けるという修行の結果、人生を豊かにするだろうということが記されています。

「ありがとう」が言えない大人、というのが多くみられます。

以前の私もそうで、「仕事なんだからやって当たり前だろ?」とか
「家族なんだから家事をやって当たり前だろ?」みたいなことを本気で思っていた冷たい人間でした。

仕事では結果を出しつつも、本当の意味で繋がる仕事の仲間との人間関係というのは希薄でした。
家族との間もうまくいかず夫婦喧嘩も耐えませんでした。

この本はそんな自分を変えるきっかけのひとつとして「ありがとうを伝える習慣」を与えてくれました。

何も10000回唱えて修行したわけではないですし、本書で語られるような超常的な宇宙論を信じてはいないのですが、少なくとも世の中にはこれだけ「ありがとう」という言葉の威力を信じていた人がいたことは驚きです。

年間300回講演を行い、多数の書籍を出版されている方がいた、そしてその内容をということは事実です。

何より、私自身がコミュニケーションは「感謝」というものに重きを置くマインドに矯正した結果、
仕事や家族関係に以前より改善がみられました。

まだまだ未熟ではありますが、仕事仲間たちとプロジェクトが終わっても食事や旅行に行ったり、
家族との喧嘩はすっかりなくなりました。

「ありがとう」を口にすることは、自分が思っているよりも確かに威力があるようです。
本当はそこまで感謝していないんだけどな、というときも、相手がなにかをしてくれたら「ありがとう」を伝えるという癖をつけることが基本です。

小学校の道徳で習うような話ですが、大人になるとこれができない人が一定数いるもので、今もそういった方に出会うと「昔の自分みたいだ」と思うことがあります。

漫画「ONE PIECE」では、キャラクターたちのセリフに時折「ありがとう!」という言葉が出てきます。
ぶっきらぼうな海賊たちのようでも、何かをしてくれた相手には例え立場を違える敵だったとしても「ありがとう!」と気持ちよく伝える様子が描写されています。

作者の尾田栄一郎さんは、「ありがとう」としっかり口に出して伝えらるほうがかっこいいというポリシーで、このようなセリフ回しをされていると対談の中で話されていました。

どこか「ありがとう」がカッコ悪いと思ってしまう時期というのがあるのだと思います。
「どうも」とか「サンキュー」とか略して伝えてもよいのかもしれませんが、「ありがとう!」とはっきりと口に出せるという姿は、面と向かって伝えられる勇気がある人として少しカッコよく映るような気がするのです。

コミュニケーションなどで悩まれている方は、よければ参考にしてみていただければと思います。