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【コラム】蓮舫議員の「時代はもうクラウド発言」は的外れなのか

6/11の国会で、マイナンバーシステムのトラブルに関する質疑で蓮舫氏が「サーバーは増やすんじゃなくて、時代はもうクラウドなんですよ」と発言した。

#クラウド蓮舫 がTwitterトレンド入りし、FF7Rの話と混雑した界隈の人も紛れて話題となった。

取り沙汰されるのは、丸山議員の稚拙にも取れるこのツイートだ。

蓮舫氏が言った発言は少しバックボーンを視野に話されていたようなので、この言葉だけ切り取ってしまうとその通り、クラウドもサーバが仕立ててますがな、と言うことになる。

地方公共団体情報システム機構が担うマイナンバー関連システムは、日本のSIer企業が結集し、システム開発を行っている。日立製作所、NEC、富士通、NTTデータとのそのグループ会社だ。

各ベンダーが互いの利権を主張し、如何に既得権益を確保するかと言う魂胆が見えるが、蓮舫氏はこの一角を意識してついた言葉に他ならない。二の句に続く言葉にその意図が隠されていた。

「だからね、これまでの積み上げてきたもののベンダーのつぎはぎのシステムじゃなくて本当に問題がどこにあるかというのを確認をして、それで予算付けをするなら分かるけども」

「大臣、これしっかり(地方公共団体情報システム)機構の人を呼んで確認をして、そして本質的な改善策を講じて頂きたいと改めてお願いいたします。なぜならこの機構はシステム独占だけじゃなくてマイナンバーカード発行も独占してるんですよ。カード発行すればするほど潤う機構なんです。潰れない機構なんです。」

つまり、この蓮舫クラウド発言は、オンプレミスかクラウドかを言っているわけで無ければ、クラウド化すれば解決するのではないかと言っているわけでもない。

国内SIerベンダーの既得権益に毒された、地方公共団体情報システム機構の立場を憂いての言葉だ。国内ベンダーの言いなりになってサーバ台数を増やせば、ベンダーは税金からハードウェアとSE費用が調達できる。

そこに本質的な改善策があるのか説明が不足しているということを指摘しているに過ぎない。

さらには、従来、官公庁システムは基本的に国内ベンダーのハードウェア採用であったが、日本政府の共通プラットフォームがAWSを採用したことにも時代の流れを汲んでいることを示唆しているのだろう。

国内SIerに資金を流通する上では良かったが、今後は海外ベンダーのシステムを利用するにあたってその限りではなくなる。

これまで通り、技術的知見を曖昧に、ベンダー側の既得権益主義に振り回されていては、GAFAを始めとするIT強豪の海外ベンダーと対等に意見を交わせる組織を国がマネジメントすることは出来ない。

[独自記事]政府が共通プラットフォームにAWSを採用へ、来秋稼働xtech.nikkei.com

詳しい解説はこちらの記事を参考にされたい。

蓮舫議員「時代はクラウド」発言を騒ぎ立てる人が覆い隠したい「重大な問題」。信号無視話法分析で明らかに(HARBOR BUSINESS Online) – Yahoo!ニュース