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組織のリーダーはどのような役割を持つか
リーダーとしての立ち振る舞いに悩んでいる。
部下ができたがが上司として振る舞えるか不安。
チームの運営がうまくいっていない。
これは3年前の私です。12人のチームを率いてプロジェクトマネジメントをした経験から、上司とは何か、リーダーとは何かについて深く学んだ経験を当記事はまとめています。
ひとりでも同様な悩みを抱える方の参考になれば幸いです。
あらゆる組織のリーダーの持つ役割
会社やプロジェクト、部活動や家庭。
様々な組織において、リーダーがいます。そして、リーダーの役割はその全ての組織でたったひとつと決まっています。
「組織の成果に責任を取る」ことこそが、リーダーの役割です。
上司、マネージャ、店長、社長、お父さん、お母さんと、は名前は違えど、この役割だけは共通です。あなたの上司は「組織の成果に責任を取る」ことができる人でしょうか。
「マネジメントの父」による定義
マネジメントの父と呼ばれるピーター・F・ドラッカーの名著「マネジメント 基本と原則」の一節にこう記されています。
かつてマネージャは「人の仕事に責任を持つ者」と定義された。だがこの定義は満足できるものだったことは一度もなかった。あらゆる組織、特に企業において、今日もっとも急速に増えているのが、「組織の成果に責任を持つ者」である。
ピーター・F・ドラッカー
組織の成果とは、その組織が目標としているミッションを達成することです。そして、組織に与えられている社会的責任を果たすことことこそが、マネージャの役割であるとドラッカーは言います。
記事の最後に書籍リンクを貼っておきますので、組織のリーダーを任されたら一度は目を通しておくとよいでしょう。参考になることは多いと思います。
「責任を取る」とはどういうことか
リーダー(マネージャ)の役割は「組織の成果に責任を取る」ことです。でも、「責任をとる」ってどういうことでしょうか。
それは決断をすることです。
社会における「組織」は複数の人が所属するだけでなく、周囲の別の組織との関連性を持つ複雑な集団である。その中で何かを「決断する」ということは、多かれ少なかれ勇気が必要です。
元・緊急消防援助隊東京都隊総隊長の「佐藤康雄」さんがTedでスピーチをされた動画があります。
この動画をもし見られていない方がいましたら、是非「ひとりで」観ることをおすすめします。私は3回涙が出ました。書籍も出版されており、リンクを記事の最後に貼っております。
プレゼンターの佐藤康夫さんは、2011年の東日本大震災当時、福島県第一原発事故の対応として、爆発した3号機への注水ミッションを指揮された方です。
動画の中でこの立場の役職が現場に赴き指揮を取ることは、ハイパーレスキュー隊の活動において後にも先にもないそうです。部隊の直接の指揮は、普段から現場を指揮されている隊長に任せるべきであり、最高位である立場にある者が陣頭指揮を取ることの方がデメリットがあります。
しかし、佐藤さんは現場へ赴ことを即断されたそうです。
理由は3つ。
- 隊員に死者が出る可能性があるため、安全管理をすること。
- 状況をが変わったとしても、現場で作戦の変更と実行を決断をすること。
- そして、責任を取ること。
日本を放射能汚染から防ぐと言う、誰もやったことのないミッションを達成することが、この組織のミッションでした。
佐藤さんは、暗闇の中、被曝のリスクがある状況で、隊員の半数を失うかもしれないと覚悟されていたそうです。「日本の未来を救う」という「組織の成果に責任を取ること」を覚悟できたのは、ご家族やハイパーレスキュー隊の隊員たちとの絆があったからだと語ります。
プロジェクトリーダー経験は苦悩の連続
私も3年前に転職し、最大12名のチームリーダーを務めました。担当プロジェクトのマネジメントが仕事になりました。もともと私は契約社員で働くSEでしたが、契約社員は業務上の責任が軽く大事な仕事を任せてもらえません。
フラストレーションがたまった私は「責任を取りたい」という一心で転職し、とあるインフラシステム開発のプロジェクトリーダーを担当しました。願ったり叶ったりです。
しかし、初めてのリーダー経験は苦悩の連続でした。どこか、リーダーを甘くみていました。きっと自分がやれば組織の運営も上手くいくだろうと思っていましたが、大きな挫折を味わいました。
プロジェクトの業務が多くなり、信頼していたメンバーは辞めていき、体調を壊すメンバーもいました。マネジメントとはかくも複雑で大変な仕事かと身を持って味わいました。
そんな中、徹夜も厭わず必死で食らいつき、メンバーの抜けた穴を自分の仕事量で埋め、新しい効率的な管理方法を取り入れたり、人に相談し、時にはお客様に業務改善を提言しながら挑戦し続けました。
無事プロジェクトは完了しましたが、失ったものは多くありました。自信や信頼、何より人が私から離れて行ってしまったことがとても悲しく思います。
ただ、そんな中でも辞めたメンバーには私のリーダーとしての熱意は何名かに伝わったようで、今でも連絡をくれてお酒を飲む間柄の人がいます。
体の不調を訴えながらも仕事をこなしてくれました。ダメな指示に怒りを見せながらも作業を完遂させてくれました。チームの運営が少しでもうまく行くようにと、彼らがメンバー間のコミュニケーションの潤滑油となるよう努力してくれていたことも知っています。
そんな彼らのことを、私を支えてくれて、そして沢山の気づきを与えてくれたことに心から感謝しています。彼らなしではプロジェクトは完了しませんでした。リーダーひとりの思いだけではプロジェクトはうまくいきませんでした。
このような人の絆こそ、プロジェクトや社会問題、組織が抱えるあらゆる課題の解決のための原動力になるのだと、私は心から思います。
組織の抱える矛盾を決断する
人の価値観は様々であり、あらゆる組織において、「正解はあり、そしてない」ものです。矛盾しているようですが、その組織の在り方は、ある時は正しく、ある時は誤っていることが多々あります。
どんな営みにも異なる側面があります。
あなたの組織の成果が最新のテクノロジーに関する事業なのであれば、それは古き良き文化を否定し、破壊するという側面を持つことになります。
一方で最新のテクノロジーの普及によって、これまで不遇であった後進国の社会問題を解決する糸口になる可能性もまた否定できません。
リーダーにも同じことが言え、そのリーダーの思いが必ずしもメンバーと同じとは限りません。大枠だけ合っていて共通の目的が一致していても、細かいビジョンや大事にしたい価値観は人それぞれです。
それでもリーダーは何かを犠牲にし、組織が成果を果たすためのアクションを取り続けなければなりません。リーダーが取るべきアクションは2つです。
- 怠惰な自由時間を捨て、組織運営と自己研鑽の時間を増やすこと
- 嫌われる勇気を持って物事を決断すること
ビジョンが伝わっていないなら何度でも伝えるし、メンバーが困っていたなら一緒に戦います。リーダーは、自分の自由時間を削ってでも、成果を出すための説明努力をしなければなりません。
決めることは責任が伴いますから、恐怖を感じることも多いと思います。たとえ誰かに嫌われてでも、上手くいかないリスクがあったとしても深く検討し、最後は決断しなければなりません。
責任を取るということは、決断し、行動に移すということです。
リーダーの背中を見てくれている人は沢山います。その姿が、他者から応援していただくための、たったひとつの資本なのです。