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会社の会議は孫子に習おう – 交渉術としての孫子の兵法

会社の会議は孫子に習おう

 孫子の兵法は有名ですが、その本質は「戦わずして勝つ」という内容です。

 つまり、血が流れるような戦いの前の段階で、勝敗を決することを目的とします。人の欲、習慣や習性、人に相対する態度を利用して、時に軍を律し、時に敵軍に対し間者を放ち、策略や奸計を持って陥れることを是とします。

 現代においても孫氏の思想は脈々と受け継がれており、国家間の戦略や、企業・個人ビジネスに至るまで深く影響を受けています。

 今日は、会議やプレゼンテーションに活用できる孫子の兵法の一端をご紹介します。

兵は詭道なり - 軍事の本質は相手を欺くこと

 孫子が言う戦略は、一歩間違えば詭弁や詐欺として一蹴されてしまうような内容もあります。
 
 一つ事例を挙げます。

 とある広告代理店が顧客にプレゼンに赴く際の話です。広告代理店のメンバーは5名。その中で入社2年目の社員がひとり、カバン持ちのような存在で、その他の顧客回りのためにたくさんの資料をカバンに入れていました。

 顧客先で会議室に通され、クライアントには2~3枚の資料が配られましたが、入社2年目の社員の席にはカバンから出された10cmほど重なった資料の山が置いてありました。他の顧客の資料です。

 議論が出尽くした会議終盤、その社員に意見が求められると、重なった資料の山の一番上の紙をめくり、意見を言います。するとその資料の山が説得色を後押しし、商談は成立したと言います。

 これは、孫子の教えに従えば、「相手を欺く」ことに他なりません。単なるハッタリです。しかし、誰を不幸にすることもなく、たった資料の「量」を見せるだけで勝利を手にしたのです。

餌兵には食らうなかれ – 囮の敵兵を攻撃してはならない

 戦闘において、囮の兵を攻撃しては、敵の本隊に攻め入られ敗北して今します。

 これはビジネスでも大いに応用できるデコイ戦略があります。特に、提案段階でのプレゼンテーションに有用です。

敢えて複数の案で臨む

 例えば、あなたがこれはよいと思った企画を提案するとします。プレゼンテーションの時間は1時間とします。単純に上司に提案しては、1時間のあいだ、重箱の隅をつつかれるばかりです。

 そこで、A、B、Cの3案を作り、本命の案をC案として資料を時間をかけて準備します。A案、B案は準備を妥協したとりあえずの案です。

 プレゼンテーションではA案から始め、切りの良いところでB案の説明へ。それらは大いに重箱の隅をつつかれるように叩かれますが、それらに準備時間を割いていないあなたは精神的なダメージはありません。
 
 そこで、残り時間が迫る前にC案の説明に入ります。C案に対して、万全に準備した資料をもとに説得力のあるプレゼンテーションを行うことで、その前のA・B案のつたないクオリティとの対比によって説得力が後押しされ、C案が通りやすくなると言います。

敢えて高い目標を示す

 ある製造メーカーでの事例です。
 
 経営陣から1日の生産量を20%アップするよう、工場へ指示が出ました。これまで工場はフル稼働でしたから、担当部長は困りました。

 担当部長は、考えあぐねた挙句、工場の社員に対してこのような指示を出します。
 「1日の生産量を40%アップするようにと指示を受けている」

 これに対して工場の社員は、不平不満の猛反発です。そこで、担当の部長は一歩引き、なんとか経営陣に30%の増産に方針を下方修正するよう取り計らうと社員に対して説明します。

 結果、1日の生産量は30%増量し、経営陣の思惑以上の結果を担当部長が引き出したことになります。

 もちろん、作業効率化などの努力はあったにせよ、目標とする数値をそのまま伝えたのでは、このような結果にならなかったと想像に容易いでしょう。

交渉術としての孫子の兵法

 いかがでしたでしょうか。

 孫子の兵法は、現代も交渉術として大いに役立つ内容を含んでいます。

 他にも多くのノウハウが詰め込まれていますので、一度読みやすい書籍から手に取ってみてはいかがでしょうか。

 あなたの仕事にも明日から応用できる戦略が記されていることと思います。