仕事のコミュニケーションでこんな悩みを持っていませんか。
職場の人たちと上手く話せない。
間違っていたらいやなので自分の意見が言えない。
言い訳をしたくないけど、つい言い訳してしまう。
仕事の上で、コミュニケーションは全てと言ってもいいほど重要な要素です。このような悩みは「アドラー心理学」に学ぶと解決します。
劣等感を必要以上に気にしてしまう
コミュニケーション障害に陥る要因の一つに劣等感があります。
「もっと身長が高かったらなぁ」
「もっと容姿が良かったら・・・」
など、劣等感を抱くことは誰にでもあります。私もです。
誰しも他者と比較して何らかの劣った側面があるはずで、それを劣等性と呼びます。ひとりとして完璧な人間はいませんので、誰しも劣等性を持ちます。劣等感を抱くことは自然なのです。
劣等感は誰にでも有り、この思考は特殊なことではありません。しかし、必要以上に気にしてしまいます。
どうしても気になるなら、思い切って克服してしまえば良いのですが、大半の人はそこまでしないと思います。
例えば、大学を中退したことを劣等感として頂いていたとしても、再受験して卒業まで通うことはほとんどの場合しないかと思います。
なぜなら、そこまで克服しなくても多少の劣等感は生きていく上で影響がないからです。
大学の例では、世界的な起業家がそれにあたります。
Apple、ピクサー創業者のスティーブ・ジョブズはリード大学を、
Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグはハーバード大学を、
Microsoft創業者のビル・ゲイツも同じくハーバード大学を中退しています。
むしろ途中で辞めたことが人生を好転させてすらいることが分かるかと思います。
それでもなぜ人は劣等感を必要以上に気にしてしまうのでしょうか。
劣等感と劣等コンプレックス
アドラー心理学では、「劣等コンプレックス」という言葉を使います。劣等コンプレックスとは、劣等感を言い訳にした行動を取ることで、心理的にマイナスをもたらす事です。
劣等コンプレックスに陥ると、全く因果関係の無い劣等感を理由に、自分の行動を限定してしまいます。
例えば、このような思考が例として挙げられます。
「学歴が無いから良い給料が貰えない」
「話し下手だから嫌われる」
「見た目が悪いから結婚できない」
これらは一見、正しい順序性があるように聞こえますが、全く因果関係はありません。よく思い返すと例外的なケースが沢山あることに思い至るのではないでしょうか。
学歴が無くても高収入である人。
先の世界的な起業家の例のほか、アフィリエイトや投資で稼ぐノマドワーカーや、サラリーマンも、副業で多くの収入を得られています。(このブログはその手の斡旋をする意図はありません)
話し下手さが愛嬌となって好かれている人。
誰もが知るお笑い芸人のダウンタウンは、ボソっと話す天才的な一言が面白くて、往年のダウンタウンは大ヒットしました。
見た目がどうであれ世の中に仲睦まじい恋人・夫婦は沢山存在します。
テレビドラマに出てくるような恋人関係を想像されているようであれば、それはフィクションです。
劣等コンプレックスに陥る理由
劣等コンプレックスに陥る理由は、自己の劣等性を受け入れているようで、真に受け入れきれていないためだとされています。
自分の劣等性を言い訳にして、目的に対して出来る行動を取らず、現状を受け入れるという判断をしてしまっている状態です。
先ほどの例に従って解説します。
学歴の例では、「学歴さえあれば、良い給料が貰えたはずなのに」
話し下手の例では、「話が上手ければ、みんなに好かれたのに」
結婚の例では、「見た目さえよければ、結婚できたのに」
このように、「劣等性」と「今ある不都合」のふたつを、因果関係で結んで考えがちです。
これが劣等コンプレックスに陥る思考の罠です。
なぜこのような思考に陥ってしまうのでしょうか。
劣等コンプレックスに陥った状態とは、自分の劣等性を言い訳にして、目的に対して出来る行動を取らず、現状を受け入れるという判断をしてしまっている状態です。
劣等性を認めること。これは人にとって大変な恐怖であり、恐怖から逃げるために別の理論を構築してしまっているというバイアスがかかってしまっているに等しい状態になります。
そして、人は他人よりメリットのある状態に憧れを持ちます。無意識に優越感を感じたいと思ってしまう欲望が少なからず影を潜めています。
その結果、「隠れた自己優越感に浸るための思想」として、劣等コンプレックスによって努力を放棄し、諦め、本来は叶うであろう才能ある自分を演出するのです。
学歴の例では裏にこう言った思想が隠れています。
「給料に不満があるが、今細々と暮らしている現状を変えるのは努力が必要で人との交渉も大変そうだから、学歴のせいにして給料を安いままにしておこう。本当の自分はそういった努力さえすれば高収入を得られる才能を持っているのだが仕方ない」
という理論です。
つまり全く関係のない「学歴」を自分の行動を制限する枷とすることで、本来の自分の価値を下げているという偽りの優越感を得ることが出来る、という理屈です。
とんでもなく、まわりくどいですよね。
でも、ありませんか?
実は私も、過去にミュージシャンを目指していて、夢を都合のよい劣等感を理由に諦めて、現在はシステムエンジニアをやっています。
劣等コンプレックスとは、本来するべく努力から逃げ、真に自己受容が出来ていない状態とも言えます。
劣等コンプレックスからの改善方法
劣等コンプレックスに陥っている状態からの脱却方法は、まず、その劣等コンプレックス自体が自分に損があることを認識しましょう。
本来するべく努力から逃げる口実を作り出しますので、仕事やプライベートの活動に対するモチベーションを低下させることに繋がります。
自分自身を陥れることで、無駄に心を消耗するような思考回路となりますので、そのような状態から脱却する必要があります。
方法は一つで、セルフイメージを高く持つことです。
セルフイメージとは自信を客観的に捉えた際のイメージです。このセルフイメージが幸福にイメージできるほど、劣等性が気にならなくなります。
なぜなら、劣等性を意識してコンプレックスを抱く以上の幸せが、自身のセルフイメージにあるからです。
具体的には普段の仕事や生活で、以下のような行動を徹底するところから始めましょう。
- 嘘をつかない
- 言い訳をしない
- 他人を否定しない
- 他人のせいにしない
この4点を実践するだけです。だけですとは言え、部分的に難しい場合があるかと思います。
例えば、「嘘をつかない」は人として当たり前ではありますが、「優しい嘘」といったものもあります。他人を傷つけないための嘘ですね。
こういった道徳的な判断はいれて良いものとします。ただし、極力嘘をつかずに「全てを言わない」ようにすると、自分のセルフイメージを「嘘つき」にせずに済みます。
こういった要領でこの4点を実践すると、客観的に捉えた自分自身が、充実した生活を送っているように認知することができます。事実この4点を徹底されているなら、尊敬すべき人格者と言えると思います。
ぜひ、明日から仕事上のコミュニケーションで実践してみることをお勧めします。きっと、気持ちが楽になり、毎日が楽しく過ごすことができると思います。
自分が変わることの影響力
コミュニケーションがうまくいかない理由は、他人にあるかもしれません。しかし、他人に原因があったとしても、他人を変えることは「自分が変わること」でしか成し得ません。
まずは自分のセルフイメージを高く持ち、周囲に影響力を振りまく人物になることが、遠くも近道の唯一の方法です。
アドラー心理学は、実践が難しいと言われますが、少しずつでも応用できると心が大変楽になります。おすすめは名著「嫌われる勇気」です。未読の方は一度手に取って見てはいかがでしょうか。